GBOが実現する多様な働き方 ー もにす認定事業主として認定されました ー

グリーグループのグリービジネスオペレーションズ株式会社(以下、GBO)は、このたび厚生労働省による「もにす認定」(障害者雇用優良中小事業主認定)を取得しました。(プレスリリース
この認定は、障がい者雇用における「取り組みの質」が優良な企業に与えられるものです。「もにす」の名称には、「企業と障がい者が共に明るい未来や社会に進んでいく(ともにすすむ)」という願いが込められています。

今回は、この認定取得の舞台裏と、GBOの掲げるビジョンへの想いについて、代表取締役社長の山本さんにお話を伺いました。

一人ひとりと向き合い、試行錯誤を続けてきた歩み。「もにす認定」が示す価値とは

ーーこのたび「もにす認定」の取得おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。



山本:とてもありがたく感じています。わたしたちの日々の一つひとつの取り組みが、国や地域から一定の評価をいただいた証だと、心から嬉しく思っていますし、社員のみなさんにとっても、認定取得がここで働く安心感や誇りにつながると良いな、と思っています。
特に、認定には「地域のモデルになる」という基準があります。私たちの実践が、地域にとっても価値のある形として受け止められたことは、大きな励みであり、同時に背筋が伸びる思いです。

ーーもにす認定取得の基準はどんなものがあるのでしょうか



山本:もにす認定制度は、制度の遵守に加えて
 ・働きやすい制度や環境づくり(Output)
 ・雇用数や定着率などの成果(Outcome)
 ・社外発信の透明性(Disclosure)
という3つの軸で審査されます。特例子会社であるGBOにはより高い基準が課されています。また雇用後の育成や定着まで含めた、企業の真摯な姿勢そのものが問われるため、認定取得は私たちにとって極めて意義深いものです。

ーーどのような点が評価されたとお考えですか?



山本:私たちが掲げるビジョン「障がい者が自身の能力を最大限に発揮でき、仕事を通じて自律的に成長し続けられる会社を創る」の実現には、長く働き続けることができる環境が不可欠です。現在、GBOには約47名の障がいのある社員が在籍し(2025年7月1日現在)、うち8割の方が発達障害の診断を受けています。その特性に合わせた物理的、精神的配慮に加え、「専門資格を持つマネージャーの配置」「コロナ禍をきっかけとしたテレワークの本格導入」「外部支援機関との連携」といった、社員がより安心して長く働き続けられる職場環境の整備を進めてきました。その結果、2021年以降入社した障がい者社員の職場定着率は100%に達しています。この安定性と職場環境の整備に関する取り組みが、もにす認定においても高く評価されたと考えています。
また、障がいのある方への雇用支援というと、特別な取り組みだと捉えられがちですが、実際には”誰にでも起こり得る働きづらさ”に向き合う営みだと思っています。誰もが、人生のどこかで弱さを抱える可能性があります。病気や家族の事情、働き方の変化、年齢による変調ーー。「働き続けたいと思ったときに働ける社会」をつくることは、障がいのある方だけでなく、未来の自分自身や、子どもたちにとっても必要な社会づくりだと感じています。

ーー専門資格を持つマネージャーは、日々、社員の方々とどのように関わっているのでしょうか



山本:マネージャーは、診断名や特性だけにとらわれず、目の前の一人と丁寧に向き合うことを最も大切にしています。それは、その人が能力を発揮しやすい形を一緒に見つけること、とも言えます。例えば、メモを取ることが負担になる方には、口頭説明だけではなく必ずテキスト情報を添えています。自分の考えを言葉にするのが難しい方には、「どう思いますか?」と漠然と尋ねるのではなく、「AとBならどちらがしっくりきますか?」と選択肢を示し、気持ちにアクセスしやすい形に工夫します。情報を細かく把握できると安心できる方もいれば、必要なポイントだけを端的に伝えた方が理解しやすい方もいます。日々の表情や反応から、どの伝え方がその人に合うのかを丁寧に探り続けています。
こうした細やかな調整は一見すると地味ですが、「個々の社員に届く形で、個々の社員が働きやすくなるように」 という思いの積み重ねです。その人のコンディションや背景に合わせて、伝え方・関わり方を柔軟に変えながら、社員一人ひとりの「働ける毎日」を支えてくれています。

ーー外部機関の連携とは具体的にどのような施策になるのでしょうか



山本:業務で安定したパフォーマンスを発揮するためには、まず生活の基盤が安定していることが重要です。そこでGBOでは、業務面の支援だけでなく、生活の基盤づくりまで含めた「二層モデル」で支援を行っています。職場で相談できない家庭の課題、行政手続き、医療の同行など、会社が踏み込めない領域については、外部の専門支援機関と連携し、安心して相談できる窓口を設けています。こうした生活・業務の二層による支援が、長期安定雇用につながっていますし、社員が安心して生活できる環境が整うことで、高いモチベーションとパフォーマンスの維持につながり、もにす認定取得という成果にも結びつけることができました。

誰もが強みを活かせる社会へ。GBOの知見を広げる新たな挑戦『grow bridge(グロウブリッジ)』

ーー多様な人材が働きやすい環境づくりについて、今後どのように発展させたいですか?



山本: GBO社員を見ていて思うことは、皆さん本当にそれぞれの強みがあり、貢献意欲や成長志向が非常に強い方ばかりだな、ということです。その方々が成長し、事業に貢献し、その手応えを感じられる場を整えることが、私たちに求められています。「貢献できたら楽しい、嬉しい、更に成長しようと思う」という、このいいサイクルは、障がいの有無にかかわらず全ての人に共通する成長の原理です。私たちは、社員のみなさんの「得意」を活かし、それを最大限に吸収できる「器」であり続けることを大切にしています。そして、この「器」を更に大きく、強固なものにしていくことも私たちの重要な使命です。今後は更に事業基盤を強化し、より多くの雇用機会を創出できる体力のある会社へと成長していきたいと考えています。

ーーもにす認定を受け、今後進めていく新たな取り組みについて教えて下さい



山本:今回の認定は、ゴールではなく、むしろ新たなスタートです。GBOで培ってきたナレッジや知見を社内に留めることなく、社会に還元していく責任があると感じています。そのための具体的な取り組みとして、社会実装モデルとしての伴走支援プログラム『grow bridge』を立ち上げました。これは、障がい者雇用を進めるのにハードルを感じている企業に対し、採用から定着までをリモートワークのノウハウも盛り込み支援するプログラムです。この活動を通じて、障がいのある方々がより活躍できる雇用を社会全体に広げていくことにつなげていきたいと思っています。
そして、私たちが目指しているのは、障がいの有無に関わらず、人生のどこかで弱さを抱えたとしても、“その人らしく働き続けられる社会インフラ” をつくること。未来の私たち自身や、これから育つ子どもたちが、どんな状況でも働ける場所を見つけられる社会を残したいと思っています。

障がい者雇用の「受け入れ困難」を解消へ
育成と体制づくりを両立する新サービス『grow bridge』を提供開始