CEDEC 2026に全7セッションで登壇!参加の醍醐味を登壇者に聞きました

~全セッション資料をご覧いただけます~

今年もゲームに関する技術や知識を共有する国内最大級のカンファレンスCEDECが、2026年7月22日(水)〜24日(金)に渡り開催されました。
今回、グリーグループから公募セッションの全7セッションに登壇。公募セッションは一般募集からの選考を経て選出されますが、例年多くの社員が応募し登壇を果たしています。登壇内容をセッションを終えた登壇者の声とともにご紹介いたします。

グリーグループからの登壇セッションと登壇者の声ご紹介

学びと発信が循環する「場」はどう設計されているのか〜運営者が語り合うLT&パネルディスカッション:開発者コミュニティ設計の実例とリアルな課題〜

講演者:
株式会社グリー 佐島 豊
株式会社WFS 西田 綾佑
※他社と合同登壇
セッション内容:
技術ブログの発信やコミュニティ運営は、個人のキャリアだけでなく、組織のプレゼンス向上や技術力の底上げにも寄与する「共創(Co-Create)」の活動です。
しかし、その継続には「ネタ探し」や「モチベーション維持」、「効果の可視化」など、多くの課題が伴います。
本セッションでは、様々な形で技術発信を実践している企業の中の人が集まり、知見や意見を交わし合い、技術ブログやコミュニティ活動の「実情」を共有します。
前半のライトニングトーク (LT) では、各社の取り組み事例やノウハウを体系的に紹介し、明日から使える知見を共有します。
後半のパネルディスカッションでは、 LT で上がった話題や普段は聞きにくいテーマなど、運営者によるリアルな議論を展開します。
これから発信を始めたい個人から、組織のブランディングに悩むマネージャーまで、隣の芝生の「青さ」の正体とその育て方を持ち帰っていただけるセッションです。

登壇者の声:佐島 豊 株式会社グリー / コーポレート部 部長
ゲーム業界ではまだあまり馴染みのない「技術広報」を実践している数社で集まり、運営の裏側を語りませんか。そんなお声がけを株式会社ディー・エヌ・エーさんからいただいたことが、応募のきっかけです。グリーグループは自社カンファレンスを開催していることもあり、その取り組みを中心にお話ししました。セッション後のAsk The Speaker※では、セッション中にご紹介したGREE Tech Conference名物の「1分間集合写真」を、参加者の皆さんがその場で実践してくださる場面もあり、大いに盛り上がりました。また、このセッションをきっかけに外部発信を始められた方もおり、CEDECでも学びと発信が循環する場を生み出せたのではないかと感じています。
※Ask The Speaker…現地で実施される講演者と受講者が質疑応答を行う交流のこと。

課題発見から始めるプロダクト密着型TA組織立ち上げ 〜小規模TAチームが3Dアセットの生産性を倍にした方法〜

講演者:
REALITY株式会社 加藤 久之
REALITY株式会社 池谷 駿弥
セッション内容:
本セッションでは、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」において、わずか4名のTA(Technical Art)チームがいかにして3Dアセット制作の生産性を倍増させ、事業成長のボトルネックを解消したかの実録を共有します。
「TA組織をどう作るか」という理想論ではなく、急増するアセット制作量と複雑化する仕様により現場が破綻しかけた「課題」を出発点とし、そこからどのようにして成果確実なチームを組成したのか。その具体的なプロセスを解説します。
特に、Maya/Photoshopプラグインによる制作フロー整備にとどまらず、TAがUnity上のアプリ機能実装まで深く踏み込む「プロダクト密着型」の動き方が、なぜ手戻りを防ぎ、クオリティと効率を両立できたのかに焦点を当てます。立ち上げから1年間の試行錯誤と、定性・定量両面での成果評価手法、効果が高かった改善に関する技術的知見まで、再現性のある内容を持ち帰っていただけます。

登壇者の声:加藤 久之 REALITY株式会社 / Platform事業本部 / Engineering部 / Avatar Systemグループ / Technical Artチーム
TAチームでは立ち上げ以来、様々な新しい取り組みを進める中で、専任チームだからこそ生み出せる成果や、業界的にも価値のある知見が蓄積できていると感じていました。そこで「チーム全員1人1件CEDECに応募しよう!」と声をかけ、チーム全体で4件を応募し、うち僕の応募を含む2件が採択されました。応募時には、比較的新しい職種であるTAの専任チーム立ち上げ事例という目新しさに加え、講演を通じて視聴者が具体的にどのような知見を持ち帰れるのかをアピールしました。大舞台での登壇を無事終えられた安心感と、講演後に多くの方から「良い講演だった」などポジティブなフィードバックをいただけたうれしさが、今でも特に印象に残っています。

属人化を叩き割れ!「制作加速」と「安定化」の矛盾を打破する:8年目プロダクトが辿り着いた「ミスが起こり得ない」アセット制作フローの全貌

講演者:
REALITY株式会社 池谷 駿弥
セッション内容:
バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」は8年目を迎え、月間340以上の新規アイテム、2800以上の新規ファイルが制作され、毎週アセットリリースが行われる膨大なアセット規模に達しています。制作加速の一方で、長期運用による仕様の複雑化と属人化が深刻化し、「事故のない安定的な制作」の限界を迎えていました。
本セッションでは、企画からリリースまでの制作フロー全体を見直し、制作の加速と安定性という矛盾を両立した手法を共有します。
具体的には、「品質」と「管理」の2軸から以下のような技術的アプローチを解説します。
- DCCツールでの制作完結化: Photoshop/Mayaデータの自動チェック、Maya上でUnity上の見た目を再現するシェーダやシミュレーション
- 仕様を隠蔽するUnity基盤: 約50以上の複雑な仕様を自動判別・吸収し、クリエイターが意識せずとも正しいアセットを作れる制作・チェック体制
- Notion×CI/CDによる管理の自動化: Git, CI/CD, Notion APIを連携させ、20以上の並行開発ブランチ管理や週次リリースなどの定型作業の自動化と、各職種による独立制御と責任分離の両立
単なるツールの紹介に留まらず、必然的な安定性のための「システムからルールを作る」逆転の発想や、複雑な仕様を隠蔽しクリエイターを創造的作業に専念させる環境設計思考、「ミスが起こり得ない仕組み」により責任と作業負荷を分散する環境改善手法、などについても共有します。

登壇者の声:池谷 駿弥 REALITY株式会社 / Platform事業本部 / Engineering部 / Avatar Systemグループ / Technical Artチーム
「REALITY」では、より多くの楽しさを提供するためにスピード感を持って膨大なアセット制作を行う一方、長期運用にともなう属人化や仕様の複雑化が課題となっていました。
これらの課題を解決し、「効率的かつ事故のない安定的な制作を運用中のプロダクトでどう両立するか」という環境設計思考や具体的な改善事例は、多くのプロダクトに応用できる知見だと考え、応募を決意しました。
目の前の制作現場で泥臭く試行錯誤してきた取り組みでしたが、登壇後に多くの質問や好評をいただいたことで、「自分のアプローチは正しかった」と確信を得ることができました。今後もより魅力的で多くの楽しみをユーザーの皆さまへ届けられるよう、取り組んでまいります。

AI画像認識を活用したゲーム内決済処理検証の自動化

講演者:
株式会社WFS 佐々 恵
株式会社WFS 伊藤 一樹
セッション内容:
ライブサービスゲームにおける決済処理検証は、ショップ表示の正確性や購入後のアイテム付与の正常性を確認する重要な品質保証プロセスです。しかし、iOS・Android・Windowsなど複数プラットフォーム、複数言語(日本語・韓国語・繁体字)に対応する決済処理検証は、工数が大きい割にバグ検出率が低く、費用対効果の面で課題を抱えていました。
本セッションでは、Google Gemini Live APIを活用した次世代の自動検証システムについて解説します。
開発プロセスにおいては、QA(品質保証)とエンジニアがどのように連携し要件定義から保守運用までの役割を分担したかという組織的な知見も共有します。また、現場ならではの泥臭いトラブルシューティングや、APIコストを考慮した費用対効果についても赤裸々に共有します。

登壇者の声:佐々 恵 株式会社WFS / Customer & Product Satisfaction部 / QAグループ / WFS QAチーム
自動テストはメンテナンスの負担や人員の制限といった理由から、運用継続が難しい領域と考えています。ライトフライヤースタジオでは決済処理検証においてAIを用いたテスト自動化を導入し、半年以上の運用に成功していることから、この知見を広く共有しようとCEDECに応募しました。各社でテスト自動化を検討される際の一助になればと思い、実装時のエンジニア観点での工夫や、導入する際に行ったQA観点でのカスタマイズ内容などを中心に発表を行いました。登壇後は様々な会社の方とテスト自動化に関する意見交換ができ、新たな知見を得ただけでなく、今後の取り組みに向けた大きなモチベーションとなりました。今後もテスト自動化の研鑽を続けていきたいと考えています。

長期運営で肥大化したExcelマスターデータの解消に向けた移行事例

講演者:
株式会社WFS 麻生 航平
株式会社WFS 嶋田 翔太
セッション内容:
リリースから10年目を迎える『アナザーエデン 時空を超える猫』において、長年運用してきたExcelによるマスターデータ管理を、Googleスプレッドシートへ移行した事例を紹介します。
長期運営タイトルにおけるマスターデータの肥大化は、ファイルの読み書きの速度や編集中の操作感の低下を引き起こし、他の作業者のファイルロックによる待ち時間を増大させ、開発効率を著しく低下させる要因となっていました。
本セッションでは、これらの課題を解決するために構築した、GAS(Google Apps Script)ベースの新たなマスターデータ管理システムを紹介します。大規模な環境でもシステムを継続的にアップデートし続けるための設計思想や、長期運用タイトルで障害を出さずに切り替えるために策定した段階的な移行計画も紹介し、移行によって得られた業務効率化の実例を共有します。

登壇者の声:麻生 航平 株式会社WFS / スタジオ本部 / 第3スタジオ部 / Engineering 1 グループ / Engineering 1 チーム
長期運用タイトルには技術的負債がつきものですが、同時に新しい技術で刷新するチャンスも数多く眠っています。
今回のExcelマスターデータの移行もその取り組みの一つであり、同じ課題を抱える他プロダクトにとって参考事例として貢献できるのではないかと考え、応募を決めました。発表では、すでにスプレッドシート運用中のプロダクトにも役立つよう、長年のノウハウを活かした「事故の起きにくい運用を見据えたシステム構成」の知見をお伝えしました。登壇後はたくさんの質問や反響をいただき、改めて現場共通の課題であることを改めて実感しました。こちらからの情報発信のみならず、今後のプロダクト改善につながる情報収集の場としても大変有意義な時間となりました。

20年続く長寿タイトルが、15年目にして売上を伸ばせた理由

講演者:
株式会社グリー 倉又 澄
株式会社グリー 春日 千晶
株式会社グリー 松本 夏海
セッション内容:
グリーが運営するモバイルゲーム『踊り子クリノッペ』は、2007年7月にサービスを開始し、今年でサービス開始から20年目に入ります。
長期運営タイトルでは、売上の減衰をいかに抑えるかが大きな課題となりますが、『踊り子クリノッペ』は15年目から売上が成長を続けています。
本セッションでは、長らく続いた減衰フェーズからどのようにして流れを変え、再成長を実現したのか、その具体的な取り組みをご紹介します。
最小限のチーム体制の中で、どのようにユーザーの声を汲み取り、マンネリを乗り越え、長く愛される運営を続けてきたのか。
プロデューサーとアートディレクター、それぞれの視点から詳しくお話しします。

登壇者の声:倉又 澄 株式会社グリー / GREE事業本部 / Game Studio 2部 / クリノッペグループ シニアマネージャー
『踊り子クリノッペ』の取り組みを社外に発信することで、長期運営タイトルの価値を業界に伝えたいと思い応募しました。
5年間のV字回復を支えたアートの言語化・数値化やUI/UX改善、IPコラボなど、少人数チームだからこその泥臭い工夫をアピールしました。派手な新技術ではなく、既存サービスを磨き続けるという地道な取り組みにこそ価値がある、と伝えたかったのです。
登壇後の質疑応答には約15名が集まり、長期運営の悩みを共有し合う濃い時間になりました。社内では当たり前に感じていたことが、社外の方々には新鮮に映っていたことが驚きであり、自信にもなりました。これからも25年、30年とクリノッペを届け続けていきたいと改めて思います。

ゲームにおけるメディアミックス展開との向き合い方 -ヘブンバーンズレッドのメディアミックス企画の立て方-

講演者:
株式会社WFS 菊岡 大夢
株式会社WFS 井上 智哉
セッション内容:
ゲーム媒体は様々な手法でメディアミックス展開が行われています。メディアミックスを行うことで目に触れる人のパイを広げ、IP寿命を延ばしてきました。
一方でIP自体の供給量の増加とともに競合が増え、メディアミックスへの期待値・ハードルが高くなっている現状があります。また、IPの特性によってはメディアミックス自体の難易度や相性などもあると考えられます。
本セッションでは、ASMR・舞台化といった、従来の手法とは異なる視点で取り組んだ、『ヘブンバーンズレッド』のメディアミックス展開について紹介し、以前は当該ゲームIPに触れていなかった層にリーチした事例を共有します。また、世界観・物語性を重視したIPのメディアミックスのハードルの高さに対して、どう課題を解消・効果的に利用したのかを説明し、メディアミックス展開の企画の立て方や考え方について共有していきます。

登壇者の声:菊岡 大夢 株式会社WFS / スタジオ本部 / 第2スタジオ部 / ストーリー グループ
業界内でも、ゲーム企画の考え方はよく話題に挙がりますが、ゲームをより広く知ってもらうための企画の考え方など、IP運用に関する話題はフォーカスされにくい印象です。『ヘブンバーンズレッド』では直近ASMRや舞台化などを通じてまさに直近でそのテーマに向き合ったばかりなので、今回CEDECに登壇するタイミングとしては最適だったと感じています。
これからのゲーム業界では、IPを管理・運用していくことの重要性がより高まっていくと考えられます。だからこそ最もIPを理解しているであろう原作者・ゲーム開発者自身がそうした話題を「畑違い」と思考を断絶せず、自らIPを広める意識を持つことが大切ですし、本講演が皆さまにとってそれを考えていくきっかけとなればと願っております。

登壇者の声:井上 智哉 株式会社WFS / Business Development本部 / Business Development部 / IP & Game Bizグループ1 / IP & Game Bizチーム1
数多くの作品が絶え間なく生み出される昨今、多くの方にひとつのタイトルを長く愛していただけるかの重要性と難しさを強く感じています。
『ヘブンバーンズレッド』の魅力を最大限活かす展開を模索し、チーム一丸となって取り組む中で、同じような課題と向き合っている方がいるのではないかと考えCEDECへの応募を決めました。
ASMRや舞台化といった施策は、もしかしたら王道のIP展開とは逸れるのかも知れません。しかし、作品をより広く知っていただくために重要な思考の根底は変わらないと考えます。
ユーザーの皆さまのことを考え、如何に作品の魅力を届けるか。届けるためにお力を貸してくださる協力会社さまと共に歩み、施策を最大化していくことについて、本講演が何か一助になると幸いです。